コラム
一般的な保険の基礎知識など、お役立ちコラム
自転車保険には入るべきか?加入を検討中の方が抑えるべきポイント
自転車は免許の必要がなく気軽に乗れる乗り物として、子供から高齢者まで幅広い年代が利用していますが、利用者が増える一方で交通事故が問題になっています。
乗用中の事故件数は全体的に減少傾向となっていますが、近年は自転車の対人事故が横ばいしており、依然として高い傾向があります。
ご自身や家族が自転車をよく利用しているというご家庭では、万が一に備えて、自転車保険に入るべきか、保険はいらないかと迷われていないでしょうか?
本記事では、自転車保険が必要かどうか解説します。
保険の加入を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
参考URL
e-Stat政府統計の総合窓口「令和2年中の交通事故の発生状況」
自転車関連交通事故の状況 表3-7-1 自転車乗用者(第1・第2当事者)の事故類型別交通事故件数の推移
(https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00130002&tstat=000001027457&cycle=7&year=20200&month=0&tclass1val=0)
自転車保険の加入義務化
ここでは、自転車保険の義務化とはどのような制度なのか解説します。
自転車事故による被害者を救済するために、自転車保険の義務化が全国的に広まっています。
自転車保険とは、万が一の事故が発生した際の後遺障害保険金、損害賠償責任への補償、さらにご自身の入院等の給付金などが付帯されている保険です。
自転車保険の加入義務化に初めて踏み切った地域は兵庫県です。
以後、大阪府、鹿児島県、滋賀県、京都府、埼玉県など、全国で次々に取り組みが広がり、東京都でも2020年4月に加入が義務づけられました。
2021年10月1日の時点では、23都府県、2政令指定都市で義務条例を制定、また11都道府県が「努力義務」の地域となっています。
「努力義務」とされている地域では、保険に加入することを努めなければならないとされています。
合わせると、70%近くの都道府県で加入が義務となっているか、加入を強く勧められているといえるでしょう。
ここで注目したいポイントは、加入義務化では、対象が自分自身のケガの治療費などの補償よりも、他人への賠償責任の補償を重視している点です。
加害者が大人、子どもに関わらず、高額な賠償請求をされることがあるためです。
また、注意すべき点は、義務は住んでいる場所と関係なく、その地域で自転車を運転している人が対象となります。
そのため、現時点で義務も努力義務もどちらにも属さない栃木県に住んでいる人が、自転車で義務となっている東京都に入れば、自転車保険への加入が義務となります。
参考URL
自転車活用推進官民連携協議会ホームページ
(https://www.jitensha-kyogikai.jp/project/#project-declaration)
実際に自転車事故で高額の賠償請求判決がなされた事例
ここでは、事例を3つほど紹介します。
事例1
当時小学生であった男子児童が歩行中の女性と正面衝突をするという事故が発生し、被害女性は意識が戻らず植物状態になりました。
そこで、被害女性の家族が児童の母親に対して損害賠償を求める訴訟を起こし、神戸地裁は約9,500万円の賠償金の支払いを母親に命じました。
事故当時、児童はヘルメットを着用しておらず、母親が監督義務を怠っていたとして、保護者の監督責任を厳しく追及した事例でした。
(神戸地方裁判所、2013年7月4日判決)
参考URL
日本損害保険協会HP
(https://www.sonpo.or.jp/about/useful/jitensya/index.html)
判時2197号84頁
(https://www.westlawjapan.com/case_law/2013/20130704-5.html)
事例2
男性が昼間の時間帯にスピードを出したまま信号を無視して交差点に進入し、青信号のときに横断歩道を歩行していた女性と衝突する事故が発生しました。
被害女性は頭蓋内損傷を起こし、11日後に死亡。
2007年に東京地裁は、約5,400万円の賠償金の支払いを加害者に命じました。
(東京地方裁判所、2007年4月11日判決)
参考URL
日本損害保険協会HP
(https://www.sonpo.or.jp/about/useful/jitensya/index.html)
事例3
男子高校生が日中に、車道を斜めに横切ろうとしていた際に、対向車線を自転車で直進中の男性会社員に衝突するという事故が起き、男性会社員は言語機能を喪失するなど重度の障害が残りました。東京地裁は加害者に約9,200万円という高額な賠償金の支払いを命じました。
(東京地方裁判所、2008年6月5日判決)
参考URL
日本損害保険協会HP
(https://www.sonpo.or.jp/about/useful/jitensya/index.html)
万が一を考えると、自転車保険の必要性は高い
自転車は気軽な乗り物ですが、乗っている間は常に事故のリスクと隣り合わせです。
万が一自分が事故の加害者になって高額の賠償責任を負った場合には、きちんと相手の方に支払いを行いたいものです。
自分が被害者側の立場になったら、加害者には事故に対して責任をきちんと取ってもらいたいと思うでしょう。
学生のお子さんが賠償責任を負うと、親が預貯金などで対応する必要がありますが、高額な賠償金の支払いはなかなか大変なものです。
そう考えると、お子さんの自転車事故へ備えるために、自転車保険に加入する必要性は高いといえます。
自転車保険の加入を検討しましょう
今回は自転車保険の加入が必要かどうか解説してきましたが、ご理解いただけましたでしょうか?
自転車保険の義務化は全国に広がっています。万が一の場合のリスクを考えて、賠償事故に備えるために保険に加入しましょう。
総合保険センターの自転車保険では、自転車事故の加害者になった場合と、被害者になった場合の両方のリスクをガードすることが出来ます。自転車保険への加入をご検討中の方は、是非こちらのページをご覧ください。
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